【重要な追記】2026.07.19 —— Whiskyは開発が終了しました
この記事で紹介している Whisky は、2025年4月に開発が終了しました。作者が開発を続けないことを表明しており、すでに入れてあるものは動きますが、今後の更新はありません。新しいmacOSや新しいゲームへの対応は期待できないため、これから始める方にはおすすめできません。
作者自身が移行先として案内しているのは CrossOver(有料)です。WhiskyはもともとCrossOverの技術を土台にしており、開発終了の理由も「Whiskyが無料で提供され続けると、土台であるCrossOverとWineの開発が立ち行かなくなる」という趣旨のものでした。
2026年7月時点で、MacでWindowsゲームを動かす主な選択肢はこちらです。
- Mac対応版(ネイティブ)を買う — いちばん確実。Death Stranding、バイオハザード RE:2、Hades II、Cyberpunk 2077 など対応タイトルが増えています。増えてきた背景はなぜMacでゲームが増えたのかにまとめています
- CrossOver(有料) — Whisky作者の推奨先。Wineベースで、Windows版をMacで動かします
- Apple公式の Game Porting Toolkit — Apple純正。開発者向けの位置づけですが性能向上が続いています。実際に導入して測ってみた記録がApple純正のGame Porting Toolkitを使い倒すです
- クラウドゲーミング — Mac側の性能に依存せず、対応タイトルなら手軽です
★無料の範囲でどこまで遊べるのかを実際に試した記録が Whisky亡きあと、Macで無料でどこまで遊べるのか です。結論から言うと、無料の手段だけでゲーム画面に辿り着くのは今のところ簡単ではありませんでした。
⚠【追記】2026.09.17 —— 公式サイトからダウンロードボタンが無くなり、初回起動で取りに行くWine一式の配布も止まっていました。いまの入手先と、すでに使っている方が気をつけることをインストールと初期設定にまとめています。
この記事について
Macを使っていると、たまに「これWindows専用か…」という場面に出会います😑特にPCゲームは、Mac対応が増えてきたとはいえ、まだWindows向けのほうが充実しています。
この記事では、Whiskyを使ってMac上でWindows用のゲームを動かす手順と、そもそもMacでWindowsのソフトを動かすにはどんな方法があるのかをまとめます。
MacでWindowsのソフトを動かす4つの方法
| 方法 | 費用 | 仕組み | 向いているもの |
|---|---|---|---|
| Mac対応版を買う | ソフト代のみ | そもそもMac用に作られている | いちばん確実。対応していれば最良 |
| 互換レイヤー (Whisky / Wine / CrossOver) | 無料〜有料 | Windows用の命令をMac用にその場で読み替える | ゲームなど、速さが要るもの |
| 仮想マシン (Parallels / VMware Fusion) | 無料〜有料 | Mac上にもう1台パソコンを作ってWindowsを入れる | 業務ソフトなど、確実に動かしたいもの |
| Boot Camp | 無料 | Mac本体にWindowsを入れて切り替えて起動 | ⚠Intel Macのみ。Apple Siliconでは使えない |
★互換レイヤーと仮想化の違い
いちばん分かりにくいのが、互換レイヤーと仮想マシンの違いだと思います。
Windows本体が要るかどうかが分かれ目
仮想マシンは、Mac上にもう1台パソコンを作ってWindowsそのものを入れます。確実ですが、Windowsのライセンスが要り、性能もそのぶん食われます。
互換レイヤーは、Windowsを入れません。ソフトが出す「Windowsへの命令」を、その場でMac用に読み替える通訳を挟みます。軽い代わりに、通訳しきれない命令があると動きません。
→ ゲームは互換レイヤー、業務ソフトは仮想マシンが向きやすい、という住み分けになります。
Whiskyとは
Whiskyは、Wineという互換レイヤーをMacで使いやすくした無料のソフトです。Apple SiliconのMacでも動きます。
Wineは設定がややこしいのですが、Whiskyは「ボトル」という単位で環境を分けて管理でき、画面から操作できます。ゲームごとにボトルを分ければ、設定がぶつかりません。
名前の綴りについて(Whisky / Whiskey / Wisky)
このソフトの正しい名前は Whisky です。「e」は入りません。
ただ、お酒のウイスキーはアメリカ英語で whiskey(e入り)と綴ることが多いため、 「Whiskey」で検索してたどり着く方が実際にいます。 ほかにも Wisky(hが抜ける)、ウイスキー Mac のようなカタカナ表記も見かけます。 どれも同じソフトを指しているので、この記事を読んでいただければ大丈夫です😊
紛らわしいもの
- Whisky(正)… この記事のソフト。Mac用のWineフロントエンド。2025年4月に開発終了
- Whiskey(誤記としてよく使われる綴り)… 同じソフトを指していることが多い
- Wisky(誤記)… 同上
- WhiskySystems / Whisky(お酒)… 無関係。検索結果に混ざります
インストールと初期設定
Whiskyの導入は、①アプリ本体を入手する → ②初回の起動でWine一式をダウンロードするの2段階です。開発が終わったあと、この2段階のどちらにも変化が起きています。2026年9月17日に、配布元を1つずつ実際に確かめました(確かめた環境:Apple M4 / macOS 26.6.2 / Homebrew 6.0.21)。
入手先は3つ(2026年9月17日時点)
| 入手先 | 本体 | いまの状態 |
|---|---|---|
| 公式サイト (getwhisky.app) | ✘ | ⚠ダウンロードボタンが無くなった(2026年5月の変更) |
| GitHub (Releases) | ◯ | 最終版 v2.3.5(2025年4月5日)の Whisky.zip(約5MB)が取れる。リポジトリは読み取り専用 |
| Homebrew | △ | 同じ v2.3.5 が入る。ただし「保守されていない」ため非推奨の扱い |
公式サイトには、ボタンの代わりに「Whisky is no longer maintained. You should buy CrossOver instead.」という一文と、CrossOverの購入ボタンが置かれています。
Homebrewは brew install --cask whisky で入れる方法です。2025年4月9日から非推奨になっていて、いつ外れてもおかしくありません(インストールの手前まで進むことは --dry-run で確認しました)。GitHubは、ソースコードの置き場をアーカイブ(書き込みを止めて保存だけしている状態)にしたうえで、配布ファイルは残しています。
GitHubの Whisky.zip を落として SHA-256(ファイルの中身から計算する指紋のような値)を計算すると、Homebrewが取りに行くファイルとして登録されている値 62fce6aa…94e と一致しました。どちらから入れても中身は同じです。
動かせる条件は Apple SiliconのMacで、macOS 14(Sonoma)以上です(アプリに書かれた最低条件とHomebrewの条件が一致)。
⚠公式サイトにボタンが無くなったため、「Whisky ダウンロード」で出てくる非公式の配布サイトに行き着くことがあります。手元のWhiskyが本物かどうかは、ターミナルで次のように確かめられます。
spctl -a -vv /Applications/Whisky.app
/Applications/Whisky.app: accepted
source=Notarized Developer ID
origin=Developer ID Application: Isaac Marovitz (92S3SG4PTH)
Notarized Developer ID は、Appleの公証(Appleが事前に検査して登録したアプリであることの証明)を通っているという意味です。作者(Isaac Marovitz)の名前が出れば本物です。入っている版は次で分かります(v2.3.5 が最終版です)。
defaults read /Applications/Whisky.app/Contents/Info.plist CFBundleShortVersionString
⚠いまから入れると、初回のWineのダウンロードで止まる
Wine一式の配布先が「見つかりません(404)」を返す
Whiskyは本体だけでは動かず、初回の起動時にWine一式(WhiskyWine)をダウンロードします。取りに行く先は data.getwhisky.app/Wine/Libraries.tar.gz です。2026年9月17日に確かめると、このファイルも、版を確かめるためのファイルも 404 でした。
Whisky v2.3.5 のソースコードを読むと、取りに行く先はこの1か所だけで、別の場所に切り替える仕組みはありません。
eightのMacにはWine一式がすでに入っているので、まっさらな状態から起動するところまでは試していません。ただ、取りに行く先が無い以上、いまから新しく入れても、ゲームを動かす手前で止まると考えるのが自然です。
これから始めるなら、Whiskyの代わりを選ぶほうが確実です。移行先の比べ方はWhiskyの代わりに何を使うかに、無料で使える手段は2026年版・MacでWindowsゲームを無料で遊ぶとPorting Kitの使い方にまとめています。
すでに使っている人が気をつけること
- ★Wine一式を消さない。場所は
~/Library/Application Support/com.isaacmarovitz.Whisky/Librariesです(eightのMacで854MB・WhiskyWine 2.5.0)。上のとおり配布が止まっているので、消すと取り直せません。Whisky自体を入れ直すときも、このフォルダは残しておきます - ★このフォルダを別のディスクにも控えておく。
dittoを使うと、中のシンボリックリンク(別の場所を指す目印のファイル)も崩さずにコピーできます
ditto "$HOME/Library/Application Support/com.isaacmarovitz.Whisky/Libraries" "/Volumes/外付けディスク名/WhiskyLibraries_backup"
- ゲーム本体やセーブデータはボトルの側に入っています。こちらの控え方はWhiskyのボトルを丸ごと引っ越す・バックアップするで実際に試しています
- アップデートを確認すると、新しい版の代わりに「Whisky is no longer maintained.」という案内が届く仕組みになっています(更新情報の配信元に、版番号「EOL」の項目が2026年5月15日付けで載っています)。押しても新しい版は入りません
- ⚠Wine一式の中身はIntel Mac向け(x86_64)の実行ファイルで、Apple SiliconのMacではRosetta 2(Intel向けのアプリを読み替えて動かすAppleの仕組み)を通って動いています。AppleはRosetta 2の提供を今後のmacOSで縮小すると告知しているので、いまは動いていても、いずれmacOSの更新で動かなくなる前提で考えておくのが安全です。いつ何が止まるのか、いまのうちにやっておくことはRosetta 2 が終わる前にやっておくことにまとめました
入手したあとの手順
- Whisky を入手して、アプリケーションフォルダに置く
- 起動すると Wineのセットアップが走る(初回のみ。数分かかる)
⚠2026年9月時点では、上の理由でここから先に進めない見込みです - ボトルを新規作成する。Windowsの版(10 / 11)を選べる
- 作ったボトルを開き、動かしたい
.exeを指定する
ボトルはWindowsのフォルダ構成をそのまま持った入れ物です。この中に C:\Program Files にあたる場所が作られ、ゲームはそこに入ります。
ゲームを動かす手順
- ゲームのインストーラー(
.exe)をボトルで実行する - インストールが終わったら、生成された本体の
.exeを実行する - 動かない場合は、ボトルの設定でWindowsの版を変えて試す
ストア型(Steamなど)の場合は、まずストアのアプリ自体を入れることになります。ここが最初の関門で、ストアが動かないとゲームまで辿り着けません。
動くもの・動かないもの
| 状況 | |
|---|---|
| 比較的動きやすい | DirectX 11までの、少し前のゲーム。単体で起動する形式のもの |
| 動かないことが多い | DirectX 12を必須とするもの |
| ほぼ動かない | 反チートソフトが入っている対戦ゲーム(システムの深い部分を使うため) |
| つまずきやすい | ストアアプリそのもの(内部でブラウザの部品を使っており、そこが描画されないことがある) |
⚠うまくいかないときに見るところ
| 症状 | 見るところ |
|---|---|
| 起動してすぐ落ちる | ボトルのWindowsの版を変えてみる。DirectXの要求版を確認する |
| 画面が真っ黒/真っ白のまま | ブラウザ部品の描画に失敗している可能性。設定では直らないことが多い |
| 日本語が四角(豆腐)になる | ボトルに日本語フォントが入っていない |
| 動くが極端に遅い | 解像度と画質を下げる。ゲーム側がDirectX 12を使っていないか確認する |
互換レイヤーは「動くか動かないか」が事前に分かりにくいのが難点です。同じゲームでも版によって変わりますし、Wine側の更新で動かなくなることもあります。
2026年のいまはどれを選ぶか
冒頭の追記のとおり、Whiskyは開発が終了しています。2026年時点で新しく始めるなら、次の順で検討するのが現実的です。
- Mac対応版があるか調べる … あればこれが最良。対応タイトルは増えています
- 反チートが入っているならクラウドゲーミング … 互換レイヤーでは動かないため
- ストア必須ならCrossOver(有料) … Whisky作者が案内している移行先
- 他のWindowsソフトも使うなら仮想マシン
- ここまで当てはまらなければ、無料の互換レイヤー
★無料の互換レイヤーは「最初に試すもの」ではなく「最後に残るもの」——というのが、実際に一通り試してみての結論でした。
まとめ
- MacでWindowsのソフトを動かす方法は4つ。Boot CampはApple Siliconでは使えない
- ★互換レイヤーはWindows本体が要らない(命令を読み替える)。仮想マシンは要る
- Whiskyはボトル単位で環境を分けられる。ゲームごとに分けるとぶつからない
- DirectX 12と反チート入りの対戦ゲームはほぼ動かない
- ⚠Whiskyは開発終了。Mac対応版 → クラウド → CrossOver の順で検討するのが現実的
- ⚠2026年9月時点で、公式サイトのダウンロードボタンと、初回に取りに行くWine一式の配布が止まっている。本体はGitHubとHomebrewから取れるが、新しく入れても先に進めない見込み
- ★すでに使っている人は、Wine一式(Libraries フォルダ)を消さず、別のディスクにも控えておく
それでは、今回はここまで。最後までありがとうございました😊
参考サイト
- Whisky 公式サイト(ダウンロードボタンの代わりにCrossOverの案内が置かれている)
- Whisky-App/Whisky の Releases(最終版 v2.3.5 の Whisky.zip)
- Whisky Documentation: Maintenance Notice(開発終了の告知。WhiskyWineも更新しないと明記)
- Homebrew Formulae: whisky(caskの条件(Apple Silicon・macOS 14以上)と非推奨の扱い)
- WhiskyWineDownloadView.swift(初回にWine一式を取りに行く先が書かれているソースコード)