Macでゲームを動かす話を、ここのところ何本か書いてきました。Whisky亡きあとMacで無料でどこまで遊べるのか、Apple純正のGame Porting Toolkitを使い倒す、2026年版・MacでWindowsゲームを無料で遊ぶ——どれも「手元のMacに、どうにかしてWindowsのゲームを動かす」という方向の話でした。

今回はその反対側です。ゲームはよそのパソコンで動かして、絵だけをMacに送ってもらう。クラウドゲーミングと呼ばれるやり方で、理屈のうえではMacの性能はまったく関係なくなります。しかも GeForce NOW には無料プランがあります。

「じゃあ全部これでいいのでは?」と思うところですが、実際に無料プランで遊んで、待ち時間と遅延を測ってみたら、詰まったのは速度ではない場所でした。回線は599Mbps出ていて、pingは損失0%。それでもGeForce NOW自身は、こちらの回線に100点満点で19点を付けてきます😳

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用語集

この回はネットワークの言葉が多めなので、先に並べておきます。

言葉意味
クラウドゲーミングゲーム本体はデータセンターのパソコンで動かし、その画面を動画として手元に送る仕組み。手元は「動画を受け取って、操作を送り返す」だけなので、Macの性能に依存しない
持ち込み方式GeForce NOWの方式。遊び放題ではなく、自分がすでに買って持っているゲームをクラウド側で起動する。SteamやEpicのアカウントを繋いで使う
リグクラウド側の1台ぶんのゲーム用パソコンのこと。無料プランは「Basic Rig」という一番下のものが割り当てられる
ジッタ遅延のばらつき。平均が同じでも、揺れが大きいと映像はカクつく。数値としては往復時間の標準偏差で見る
パケット損失送ったデータの小包が途中で消える割合。動画では画像の乱れや一瞬の停止として出る
バッファブロート回線が混んだとき、途中の機器が小包を溜め込んで遅延が伸びる現象。速度計測では見えず、「速いのに反応が遅い」の正体になりやすい
ICMP(ping)相手まで往復してくる時間を測る、いちばん基本的な確認手段。ただしゲームの実データとは別の種類の通信で、扱いが違うことがある——これが今回の山になります
AWDLAirDropなどが使うApple独自の無線。Wi-Fiと同じ電波を共有して行き来するため、Wi-Fi側に短い中断を作ることがある

【下調べ】無料プランで何ができて、何ができないのか

まず公式ページで3つのプランを確認しました(2026年8月時点)。

FreePerformanceUltimate
料金無料1,790円/月3,580円/月
1回のセッション1時間6時間8時間
画質1080p / 60fps1440p4K / 120fps
待ち行列あり優先最優先
広告ありなしなし
レイトレーシング——あり

おもしろいのは、待ち行列の画面に出てくる「DAY PASSを取得すると、待ち時間なしに以下が可能です」という誘導文です。そこに並んでいる項目が、そのまま「無料プランで削られているもの」の一覧になっています。

画面に出ていた誘導文
より高性能なゲーム用リグ / サーバーへの最速アクセス / セッションをより長く利用可能 / RTXレイトレーシング / 広告の無い体験

そして、有料プランにも2026年から月100時間の上限が付いています。「無制限に遊べるサービス」ではありません。

【下調べ・承前】持ち込み方式 ── 所有14本のうち、扱えたのは1本だった

ここがこの記事のいちばん大事なところかもしれません。GeForce NOWは持ち込み方式です。月額を払えば何でも遊べるのではなく、自分がすでに持っているゲームをクラウド側で起動する仕組みです。

手元のSteamライブラリ14本を、2つの条件でふるいにかけました。

  1. GeForce NOWが対応しているか(公式の対応タイトル一覧に載っているか)
  2. 広告のあるブログで扱ってよいか(各社のガイドラインの原文を読む)

2つ目を入れているのは、仮想マシンでWindowsゲームを動かした回で痛い目に遭ったからです。あのときは「収益化してよいか」だけを見て「仮想化環境で動かしてよいか」を見落とし、アカウントが停止されました。条件は必ず2軸で見る、と決めています。

タイトルGFN対応ガイドライン判定
大手A社のシリーズ(7本)対応収益化の許諾が「動画サイトの広告」限定×
大手B社のタイトル対応「非営利目的のブログ」が対象、広告は配信プラットフォーム側のものを指す読みが自然×
オープンソースのもの(2本)一覧に無し—×
基本無料のオンラインゲーム対応規約上は可×(前述の停止中)
その他一覧に無し/要インストール—×
Dead by Daylight対応明示的に可(下記)○

Behaviour Interactiveのファン制作コンテンツのガイドラインには、「あなたのウェブサイト」で共有してよいこと、そしてコンテンツの傍らに適法な広告を置くことは許可されることがはっきり書かれています。A社・B社の「配信プラットフォームの広告限定」という書き方とは、明確に違います。

ここで出た答え
所有14本のうち、無料プランで規約的にも扱えたのは1本だけでした。「クラウドゲーミングはMacの答えになるか」への答えは、性能の話をする前に「何を持っているか」で決まってしまう——持ち込み方式とは、そういう仕組みです。

【実験1・回線】まず自宅の回線を測る

クラウドゲーミングは回線がすべて、と言われます。まず土台を測りました。接続はWi-Fi(有線ではありません)、5GHz帯・80MHz幅、電波は−50dBm、リンク速度866Mbpsという環境です。

macOS標準の networkQuality で速度と応答性を見ます。

$ networkQuality -s -v

下り 599.2 Mbps / 上り 532.6 Mbps(どちらも Accuracy: High)
空いているときの遅延  13.8 ms(4334 RPM)
上りが埋まったとき    86.8 ms(691 RPM)   Responsiveness: Medium
下りが埋まったとき    60.9 ms(985 RPM)   Responsiveness: Medium

速度は十分すぎます。ただ「埋まったとき」の応答が6倍前後に落ちるのが見えます。ここが大事そうなので、自分でも測りました。ping(1.1.1.1宛)を打ちながら、同時に別の通信で回線を埋めていきます。

条件実効速度パケット損失平均最大ジッタ
空いている—0.0%10.505 ms11.353 ms0.284 ms
並列2で埋める596 Mbps7.0%15.620 ms24.957 ms3.420 ms
並列8で埋める648 Mbps8.0%16.936 ms27.988 ms3.722 ms

いちばん効くのは遅延ではありませんでした。遅延は10.5→16.9msで+61%ですが、損失が0%→8%、ジッタが0.28→3.72msで13倍になります。速度の数字ではなく、こちらが体感を決めるはずです。

【承前】負荷が掛かっていなかった ── 危うく逆の結論を書くところだった

この表を作る前に、一度間違った結論を出しかけました😅

最初は負荷をかける相手に speed.cloudflare.com を使っていました。ところが何回測っても遅延がまったく変わらない。「うちの回線はバッファブロートに強いらしい」と書きかけて、念のため実際に何バイト落ちてきたかを確認したら——1バイトも落ちていませんでした。HTTP 403で弾かれていたのです。

リモート越しに測った数字は信じていいのかでも同じ形を踏んでいます。負荷を掛けたつもりで掛かっていない。対策は単純で、計測スクリプトに実効速度を必ず併記させることです。

# 負荷をかけながらpingを打ち、そのあいだの実効速度も一緒に出す
URL="https://mensura.cdn-apple.com/api/v1/gm/large"   # networkQualityが使う先。403にならない
IF=$(route -n get default | awk '/interface:/{print $2}')
bytes () { netstat -ib | awk -v i="$IF" '$1==i && $3 ~ /Link/ {print $7; exit}'; }

b0=$(bytes); t0=$(date +%s)
ping -c 100 -i 0.2 -q 1.1.1.1 | tail -2
b1=$(bytes); t1=$(date +%s)
echo "実効 $(( (b1-b0)*8/1000000/(t1-t0) )) Mbps"

netstat -ib は列の位置に癖があって、<Link#N> が3列目、受信バイトが7列目です。ここも一度間違えました。

【実験2・GFN】待ち行列は、時間帯で25分の1になる

無料プランには待ち行列があります。公式の記載は「通常 >2 分の待機時間」。実際に起動してみました。

最初に試したのは火曜の18〜19時。画面に出た数字は——

あなたの前には次の数のゲーマーがいます:812
15分待って700人。1分あたり7.5人ずつ減る計算で、残り約1時間34分。ここで中断しました。

翌朝、6時30分にもう一度。

待ち行列の人数(同じタイトル・同じ回線) 火曜 18〜19時 812人 水曜 6時30分 32人 公式の記載 「通常 >2 分の待機時間」 → 早朝はこれとほぼ整合。夕方は大きく外れる

32人。25分の1です。 1分7.5人のペースなら4分ほどで入れる計算で、実際すぐに入れました。

無料プランで入れたDead by Daylightのロビー画面。Macの画面にクラウド側のゲームが表示されている

無料プランで入れたところ。ここはもうクラウド側のパソコンが描いている画面で、Macは受け取って表示しているだけです。

ここで書き方を間違えないようにしたいところです。公式の「通常2分超」は嘘ではありません。早朝はほぼその通りです。ただ、平均の数字は「いつ遊ぶか」を教えてくれない。無料プランの制約は「待つ」ことではなく、「遊びたい時間に遊べるとは限らない」ことのほうでした。

【実験3・GFN】ストリーム中の回線 ── GeForce NOWは回線を埋めない

入れたので、ストリーム中の回線を測ります。人工的な負荷はかけません。ストリームそのものが負荷だからです。

条件受信損失平均遅延ジッタ
GFN無し(前日・空いている)—0.0%10.505 ms0.284 ms
メニュー画面6.4 Mbps0.0%10.386 ms0.454 ms
ゲーム内・静止9.5 Mbps0.0%10.545 ms0.837 ms
ゲーム内・動き回る7.6 Mbps0.0%10.525 ms0.540 ms
ゲーム内・動き回る(2回目)8.0 Mbps0.0%10.434 ms0.553 ms

実験を始める前、eightは「クラウドゲーミングは下りを常時埋め続けるから、体感を決めるのは埋まっている側だ」と見込んでいました。これが外れました。

599Mbpsの回線に対して、使っているのは6.4〜9.5 Mbps。1%ちょっとです。 遅延も損失もまったく悪化していません。

さらに意外だったのが次です。「動き回れば帯域が増えるはず」と思って、視点をぐるぐる回しながら測りました。動いているかどうかは録画のフレーム間差分で確認しています(静止0.118に対し、動き回ると0.267=2.3倍)。それでも——

画面の動きを2.3倍にしても、帯域は増えなかった メニュー(静止画) 6.4 Mbps ゲーム内・静止 9.5 Mbps 動き回る 7.6 Mbps 動き回る(2回目) 8.0 Mbps 回線の上限は599 Mbps ── どれも1%台しか使っていない

むしろ静止しているときのほうが高いくらいで、6.4〜9.5 Mbpsの範囲に張り付いています。ビットレートに上限が決められていると読むのが自然です。画質は帯域ではなく圧縮で調整されている、ということになります。

ただしサンプルは4つだけなので、ここは「そう見える」までにとどめておきます。

【承前】統計オーバーレイの出し方 ── MacだけCtrlではなくCmdだった

GeForce NOWには、ストリーム中の状態を出すオーバーレイがあります。これを出そうとして、いきなりつまずきました。Windows向けの記事に載っている Ctrl + G を押しても何も起きません。

推測で試すのをやめて、アプリの中を読みました。/Applications/GeForceNOW.app/Contents/Resources/mall/*.js にホットキーの既定表が入っていて、修飾キーのコードが2種類定義されています。

// 抜粋(読みやすく整形)
17    : "Ctrl"     // Windows向けの表
65335 : "Cmd"      // ★Mac向けの表

OpenIGO          : [17, 71]   / [65335, 71]    // G
StatisticsToggle : [17, 78]   / [65335, 78]    // N
Screenshot       : [17, 49]   / [65335, 49]    // 1
機能WindowsMac
統計オーバーレイCtrl + NCmd + N
統計の代替割り当てCtrl + Shift + ECmd + Shift + E
オーバーレイメニューCtrl + GCmd + G
スクリーンショットCtrl + 1Cmd + 1

Cmd + N で出ました。画面の右上に出ます。

ゲーム画面の右上に統計オーバーレイが表示されている状態

チュートリアル中の画面。右上の小さな枠が統計オーバーレイです。

GeForce NOWの統計オーバーレイ。ゲーム60fps、ストリーム60fps、PING 21ミリ秒、サーバーはJapan (NP-TYO-01)

ゲーム側60fps、ストリーム61fps、PING 21ミリ秒、サーバーは Japan (NP-TYO-01)、リグは無料プランの Basic Rig。数字だけ見ればとても良さそうです。

【実験4】押してから画面が変わるまでを測る

ここからが本題です。PING 21msは「ネットワークの往復」だけで、指を動かしてから画面が変わるまでには、他にもたくさん挟まっています。

キーを押してから画面が変わるまでに通る場所 キー入力macOS GFNクライアント 往路 サーバーゲーム処理+描画 復路 デコード表示 60Hz GFNが表示する PING 21ms はこの区間だけ 実際に測りたいのは、こちらの全体

測り方はスマホの240fpsスロー撮影です。手元と画面が同じフレームに入る角度で撮り、「押した瞬間」と「画面が変わった瞬間」のフレーム差を数えます。1フレーム=4.167ミリ秒です。

操作にはESCキーでポーズメニューを開閉するを選びました。理由は2つあって、①画面の変化が全画面・瞬間・高コントラストなので終点が決めやすい、②ESCはキーボード左上にあるので真上から叩き下ろせて起点も決めやすい、からです。

⚠ 対戦には入っていません
Dead by Daylightは非対称対戦のゲームです。遅延の計測のために公開の対戦に入ると、他のプレイヤーの体験を損ないます。計測はすべてチュートリアルとメニュー操作で行いました。入力から画面反映までの時間はゲームの中身に依存しないので、これで成立します。

【承前】測り方で2回失敗した

いきなり成功していません。2回撮り直しています😅 失敗の中身が、そのまま「こう測ればいい」の裏返しになっているので書いておきます。

1回目の失敗:画面に「止まっている→動き出した」の切れ目が無かった。 視点移動を撮ったのですが、動きがすべて連続的で、どのフレームが起点でどれが終点なのか決められませんでした。

2回目の失敗:壁を正面にしてW(前進)を押した。 これは完全に見込み違いでした。模様のある壁を正面に置けば変化が分かりやすいだろうと考えたのですが、壁に向かって歩いても世界はほとんど動きません。押した後450ミリ秒ぶんの画面を並べても、レンガはほぼ同じままでした。

さらに、指のほうも上から叩き下ろすのではなく横から滑り込んでいました。拡大して初めて気づいたところです。

【承前】決め手はスロー動画の音声だった

3回目の撮影は框も操作も良くなったのですが、解析してもう1つ問題が出ました。指の押し込みが6ピクセルしかないのです。指を大きく浮かせずに押していたので、映像から接触フレームを決められません。試行ごとに最下点の位置がばらついて、標準偏差が51.3ミリ秒(平均の30%)という使えない数字になりました。

そこで音声を使いました。スロー撮影の動画には打鍵音が入っています。

iPhoneのスロー撮影の中身
ファイルとしては30fps・295秒ですが、総フレーム数は8,850。8,850 ÷ 240 = 36.9秒が実時間です。つまり240fpsで撮ったコマがそのまま入っています。そして音声も同じだけ引き伸ばされているので、映像と音声は同じ時間軸に乗っています。映像1フレーム=音声1/30秒で対応が取れます。

ただし音だけで探すと別の物音を拾います(実際、1試行目で566ms、4試行目で62.5msという明らかにおかしな値が出ました)。そこで3つの信号を組み合わせました。

3つの信号を重ねて、打鍵と反応を確定する ① 指先の動き 場所を絞る(この範囲に打鍵がある) ② 打鍵音 その範囲の中の最大点=接触の瞬間 ③ 画面の変化 立ち上がり=反応した瞬間 この間隔 × 4.167ms

これで9試行すべて確定しました。標準偏差は51.3ms → 26.7msに改善しています。

【実験4・結果】押してから画面が変わるまで、平均203ミリ秒

9回の測定(ESCでポーズメニューを開閉) 150175 200225 250 ms 平均 203.2 ms 中央値 208.3 ms / 標準偏差 26.7 ms / 範囲 166.7〜245.8 ms

平均203.2ミリ秒。標準偏差26.7msというばらつきは、ゲーム60fps・ストリーム60fps・画面60Hzという3段の待ち合わせから出る揺れとほぼ同じ大きさで、測定として筋が通っています。

⚠ この203msを「GeForce NOWの遅延」と書くことはできません
この数字にはゲーム側がESCを受けてメニューを開くまでの時間が含まれていて、いまは分離できていません。正しい書き方は「この環境・この操作で測ったら203msだった」までです。

それでも、並べてみると言えることがあります。

何の数字か値
GFNの自己申告 PING18〜23 ms
こちらから測ったICMP(1.1.1.1)10.5 ms
押してから画面が変わるまで(実測)203 ms

自己申告のPINGは、実際に押してから画面が変わるまでの約10分の1しかありません。 リモート越しに測った数字は信じていいのかで書いた「接続しているのと、配信されているのは別物」と、まったく同じ構図です。

ちなみに、操作していたときの体感は「違和感なく、遅延は感じなかった」でした。これは矛盾ではありません。今回測ったのはメニュー操作で、プレイ中に体感されるのは主に視点や移動の追従です。同じものを測ったとは限らないので、並べて示すだけにしておきます。

【実験5】pingは損失0%、GeForce NOWは「パケット配信19点」

セッションを終えると、GeForce NOWがゲームセッション診断レポートを出してきました。これがこの回でいちばん効いた材料です。

GeForce NOW自身による、このセッションの採点 2026年8月19日 7:22〜7:48 / 100点満点 デバイス 100 アップロード 100 ダウンロード 32 パケット配信 19 ゲーム 95 同じ時間帯にこちらで測ったpingは、損失0.0%・平均10.5ms・ジッタ0.5ms

パケット配信 19点(赤)。ダウンロード 32点(黄)。

こちらのping計測は、5条件すべてで損失0.0%・平均10.5ms・ジッタ0.5msでした。「回線はまったく問題ない」と言っていたのに、サービス側の評価は19点です。

実はこれ、自分で書いた但し書きが当たった形でした。回線を測ったときのメモにはこう書いてあります。

計測時のメモから
「ここで測ったのはICMP(ping)で、混雑時に優先度を下げられている可能性がある。クラウドゲーミングの実データはUDPなので同じとは限らない。回線がこう振る舞うまでは言えるが、ゲームがこう遅れると断定はできない。」

この但し書きを、サービス側の申告が裏付けたことになります。速度テストが速い=クラウドゲーミングが快適、ではありません。

レポートには改善提案も4件付いていました。①イーサネットに切り替える ②AirDropおよびAWDLを一時的に無効にする ③別のGeForce NOWサーバーを選ぶ ④Wi-Fiアダプタードライバーを更新する。

2つ目が具体的だったので、その場で確認しました。

$ ifconfig awdl0
awdl0: flags=8863<UP,BROADCAST,SMART,RUNNING,SIMPLEX,MULTICAST> mtu 1500
                  ~~                  ~~~~~~~   ← 有効のまま動いている

$ netstat -ib | grep awdl0
awdl0  1500  <Link#16>  ...  565860 packets  852,628,624 bytes

AWDLは有効のままで、56万パケット・約852MBを受信していました。 AWDLはWi-Fiと同じ電波を共有してチャンネルを行き来するので、Wi-Fi側に短い中断が周期的に入ります。

ここで、pingとの食い違いの説明が付きます。

なぜpingは「損失0%」と言えてしまうのか 短い中断(AWDLが電波を使う時間) ping(5回/秒) → 中断のあいだをすり抜けるので「損失0%」になる 映像(60枚/秒) ↑ ここに来ていた枚数ぶんが遅れる・欠ける

5回/秒のpingは、短い中断のあいだをほとんど素通りします。 ところが毎秒60枚届く映像は、その中断に必ず何枚か重なります。「pingは損失0%、GFNはパケット配信19点」という食い違いは、これで説明が付きます。

ただし、これはまだ仮説です。確かめるならAWDLを切って同じ計測を回し、診断レポートの点数が動くかを見る必要があります。そこまでは今回できていません。

【整理】無料プランはMacの答えになるのか

数字を並べ直すと、答えは「条件付きでなる」です。ただし条件は速度ではありませんでした。

見ていた前提実際
回線速度が足りるかが勝負599 Mbpsに対して使うのは1%台。速度は最初から論点ではなかった
クラウドゲーミングが回線を埋める埋めない。 埋めるのはいつも他の通信の側
pingが良ければ快適ping損失0%でも、サービス側の評価は19点
PINGの値が体感に近い実測はその約10倍(21ms対203ms)
無料で好きなゲームが遊べる持ち込み方式。所有14本のうち扱えたのは1本
待ち行列は数分時間帯で25分の1(812人と32人)

向いているのは、すでにGeForce NOW対応のゲームを持っていて、早朝や平日昼など空いた時間に遊べる人です。Macの性能はまったく要りません。ここは本当に強いところで、Game Porting Toolkitのように「そもそも起動できるのか」で悩む必要がありません。

向いていないのは、遊びたい時間が夜に固定されている人と、これから買うゲームを決める人です。前者は待ち行列に、後者は持ち込み方式に引っかかります。

そして回線については、速度を測るより先に、GeForce NOWの診断レポートを見るほうが早いというのが今回の結論です。自分の環境について、サービス側が5項目で採点して見せてくれます。ここが赤いなら、速度がいくら出ていても意味がありません。

つまずき集

  • 負荷を掛けたつもりで掛かっていなかった。 403で1バイトも落ちておらず、逆の結論を書きかけた。計測には実効速度を必ず併記する
  • Ctrl + G でオーバーレイが出ない。 Macは修飾キーがCmd。アプリ内のホットキー表を読んで判明した
  • 測る前に、他の通信を止め忘れていた。 動画とリモートデスクトップが動いたままだった。「掛けていないつもりで掛かっている」という、上と逆の失敗
  • 画面録画では遅延を測れない。 screencapture -v は120fpsと宣言するが実測51.6fps(1,550フレーム/30秒)。1フレーム19msの粒度では道具にならない
  • 壁を正面にしてWを押しても、世界はほとんど動かない。 計測用の操作は「全画面が瞬間的に変わるもの」を選ぶ
  • 音だけで打鍵を探すと別の物音を拾う。 指の動きで場所を絞ってから音を見る
  • 閾値だけで対応づけると偽の組が混ざる。 実際に「画面のほうが指より先」という組を拾いかけた。順序を必ず確認する

まとめ

  • GeForce NOWの無料プランは、Macの性能をまったく使わずに動く。 ここは期待どおりだった
  • ただし持ち込み方式。 所有14本のうち、無料プランで規約的にも扱えたのは1本だけだった
  • 待ち行列は時間帯で25分の1。 夕方812人、早朝32人。公式の「通常2分超」は嘘ではないが、平均は「いつ遊ぶか」を教えてくれない
  • クラウドゲーミングは回線を埋めない。 599Mbpsに対して6.4〜9.5 Mbps。画面の動きを2.3倍にしても増えなかった
  • 押してから画面が変わるまでは平均203ms。 GFNが表示するPING 21msの約10倍。ネットワークの往復は、体感のごく一部でしかない
  • pingが損失0%でも、GeForce NOWは「パケット配信19点」と言う。 ICMPで測った回線の良し悪しは、そのままゲームの快適さにはならない
  • 心当たりはAWDL(AirDropが使う無線)。有効のまま852MB動いていた。 ただしこれは仮説で、切って測り直すところまではできていない

「速度は足りているのに、なぜか快適でない」を説明できる材料が、思っていたよりずっと手前に転がっていました。回線speedtestの数字を見て安心する前に、GeForce NOWのセッション診断を一度開いてみるのがおすすめです😊

実測した環境
Mac 完結。Apple M4(10コアGPU)/ メモリ32GB / macOS 26.6.1。計測日は 2026-08-18 です。
この記事の数字は、すべてこの環境で実際に測ったものです。⚠機材や版が変われば結果も変わります。

それでは、今回はここまで。最後までありがとうございました😊